Fukui Pipe Organ Project vol.3
パイプオルガンで奏でる聖霊の息吹
~バッハとメシアンからのメッセージ~
今回の演奏会のテーマは新約聖書にあるエピソードのひとつ、「聖霊降臨(ペンテコステ)」です。「突然、激しい風が吹いてくるような音が天から起こり、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、霊が語らせるままに、他国の言葉で話し出した。」(使徒言行録2:1-4)
この劇的な場面は芸術家たちの創作意欲を刺激し続けています。オルガンの為には、J.S.バッハとO.メシアンも全く異なる音楽表現で作品を残しているので、ハーモニーホールふくいの大オルガンで聴き比べていただきたいと思い、プログラムを組みました。
現代科学では、宇宙が138億年前のビッグバンの爆発により始まり、その100億年後の地球の海に生命が誕生したことが解明されています。人類が誕生したのは20万年前と言われています。地球の歴史では新しい存在である人間は、21世紀にヒトゲノムの完全解読を達成。地球を飛び出して活発に宇宙探索をも繰り広げるようになりました。一方で、地球上には、未だ解決できない貧困、飢餓、など多くの問題が山積しています。
数千年前から語り継がれている聖書の言葉は、現代においても、我々が人間の限界を乗り超え、他者と共に日々を精一杯生きるために、示唆を与え続けているように感じます。イエスの誕生を紀元としている西暦2023年。バッハとメシアンがオルガンに託した「聖霊の息吹」を皆様にお届けすることができれば幸いです。
東京藝術大学音楽学部器楽科オルガン専攻卒業。1977年渡仏、フランス・オルガン界の重鎮ミシェル・シャピュイ、アンドレ・イゾワールに師事。長年にわたるフランス滞在中、教会オルガニストを務め、ヨーロッパ各地の歴史的オルガンを訪ねて研鑽を積むかたわら、演奏活動を始める。
帰国後は東京藝術大学等で後進の指導にあたりながら、主にフランス・オルガン音楽の普及に力を注いできた。
日本を代表するオルガニストとして、古典から現代に至る幅広いレパートリーに取り組み、その色彩感あふれる演奏は国内外で高く評価されている。
1991年新宿文化センターにオルガンが設置されて以来、専属オルガニストを務めている。
現在、フェリス女学院大学音楽学部非常勤講師。