Fukui Pipe Organ Project vol.1
今こそオルガンで世界旅
ドイツの風とフランスの風
~ J.S.バッハ & C.フランク 珠玉のオルガン曲 ~
「なぜめぐり逢うのかを私たちはなにも知らない」
福井と私とのご縁は18年前、ハーモニーホールふくいのオルガン設置時にお声がけいただいた時に始まりました。フェリス女学院大学の音楽学部に勤務していた私は、この「フェリス」と「福井」とのご縁が、実は、150年遡って、日下部太郎氏、グリフィス氏そしてフルベッキ氏にまで繋がっていたとは想像すらできませんでした。
当時、福井県に巡ってきた国民文化祭のグランド・フィナーレでは中島みゆきの「糸」を廣野嗣雄先生のオルガン編曲で弾かせていただきましたが、目に見えない糸に感謝する日々です。
「ふくい」のオルガンは、伝統的なオルガン作品はもとより、真宗宗歌の響きも、《ふるさと》の旋律も、そして芦原節も、優しく県民の心に届けてくれました。
しかし、今、私は、J.S.バッハ最晩年の《18コラール》全曲を数回に分けて、このドイツ生まれのオルガンで弾かせていただきたい、という強い思いに駆られ、不思議な「糸」を辿りながら、自主オルガン企画を始めることにいたしました。
私自身はバッハの作品演奏で、そしてお迎えするゲストには、それぞれが最も得意とされるレパートリーで、この大オルガンの魅力をなお一層発信したいというのがこの企画の主旨です。
初回のゲストは早島万紀子さん。C.フランク生誕200年をご一緒にお祝いいたしましょう。
オルガン企画を通して、皆様に「仕合わせ」を実感していただけましたら幸いです。
東京藝術大学音楽学部器楽科オルガン専攻卒業。1977年渡仏、フランス・オルガン界の重鎮ミシェル・シャピュイ、アンドレ・イゾワールに師事。長年にわたるフランス滞在中、教会オルガニストを務め、ヨーロッパ各地の歴史的オルガンを訪ねて研鑽を積むかたわら、演奏活動を始める。帰国後は東京藝術大学等で後進の指導にあたりながら、主にフランス・オルガン音楽の普及に力を注いできた。日本を代表するオルガニストとして、古典から現代に至る幅広いレパートリーに取り組み、その色彩感あふれる演奏は国内外で高く評価されている。1991年新宿文化センターにオルガンが設置されて以来、専属オルガニストを務めている。
現在、フェリス女学院大学音楽学部非常勤講師。